初詣に行きましたか?
と尋ねると、案外「行ってません」と答える方が多いように感じます。
寒い時に外に出るのも大変だからでしょうか?
そこで、歌で初詣しましょう、というプログラムを考えてみました。
この歌をご存知ですか?
一番はじめは一の宮
二は日光の東照宮
三は佐倉の惣五郎
四はまた信濃の善光寺
五つ出雲の大社(おおやしろ)
六つ村々鎮守様
七つ成田の不動様
八つ八幡の八幡宮
九つ高野の弘法様
十で東京招魂社(泉岳寺、明治神宮などもあり)
誰もが知っているお寺や神社が歌われています。
これだけでも9か所のお参りができちゃいますね。
一つ一つ「お参りしたことありますか?」などと問いかけてみましょう。
佐倉の宗五郎だけは人の名前です。
石原和三郎作詞 田村虎蔵作曲 明治38年
出雲大社に祀られている神様は、大国主命です。
大黒様の歌は、因幡の白兎のお話しが歌われています。
七福神の大黒様と大国主命(大国様)は別人ですが、同じ「だいこくさま」だったので、今では同一視されているようです。
葛原しげる作詞 南能衛作曲 明治45年
文部省唱歌です。
「村の鎮守の神様の」で始まりますね。
芳賀矢一作詞 作曲者不詳 明治43年
文部省唱歌です。
八幡宮と言うと関東地方では鎌倉の鶴岡八幡宮を思い浮かべる人が多いです。
鶴岡八幡宮は3番に歌われていますが、2番には極楽寺、長谷観音、鎌倉大仏が歌われています。
野村俊夫作詞 船村徹作曲 島倉千代子 昭和32年
関東では、観音様と言えば「浅草寺」でしょう。
2番には靖国神社も歌われています。
佐藤惣之助作詞 山田栄一作曲 東海林太郎 昭和12年
こちらも浅草寺が歌われています。
今中楓渓作詞 大村能章作曲 東海林太郎 昭和10年
野崎小唄は、大阪の慈眼寺が舞台です。
本尊は十一面観音。
野崎観音と言われて親しまれているそうです。
大和田建樹作詞 多梅雅(おおの うめわか)作曲 明治33年
赤穂浪士の墓どころ、泉岳寺が歌われています。
4番には川崎大師も出てきます。
わらべうた 本居長世編
天神さまにお札を納めに行く歌ですね。
私が子供の頃はこのようにして遊びました。
ふたりで手と手を合わせて屋根のような形を作り、他の人たちはその屋根の下を歌いながら通ります。
歌が終わった時に通った人を屋根を作った手を下して捕まえます。
佐伯孝夫作詞 清水保夫作曲 小畑実/藤原亮子 昭和17年
こちらも天神様。
学問の神様として、受験シーズンはたいへんな賑わいです。
また、梅の頃には梅まつりが開催されます。
星野哲郎作詞 山本直純作曲 渥美清 昭和46年
寅さんは葛飾柴又の帝釈天で産湯を使いました。
他にも寺社仏閣の歌
女ひとり・証城寺の狸囃子
お正月らしいプログラムです。
高齢者の皆さんは、百人一首には親しんでいたようです。
上の句を貼って、下の句を答えてもらったり、
声を合わせて読み上げたり、
場を盛り上げましょう。
楽しくてちょっと優雅なひと時になることでしょう。
【導入】
プログラムの始めは、季節感があって、馴染みがあり、なるべく明るい歌が良いと思います。
【百人一首】
《田子の浦に出かけて、遙かにふり仰いで見ると、白い布をかぶったように真っ白い富士の高い嶺が見え、そこに雪が降り積もっている》
田子の浦は駿河国(静岡県)の海岸です。富士山が綺麗に見えていたのでしょうね。
ボート遭難の悲しい歌です。涙される方がいらっしゃるかもしれません。気持ちに寄り添いましょう。
《天を吹く風よ、天女たちが帰っていく雲の中の通り道を吹き閉ざしてくれ。乙女たちの美しい舞姿を、もうしばらく地上に留めておきたいのだ》
西条八十作詞 服部良一作曲 藤山一郎&奈良光江 昭和24年
乙女って何歳くらいでしょうね?と問いかけてみましょう。
ニコニコして答えてくれますよ。
2番に「憧れの旅の乙女に鳥も啼く」という歌詞があります。
《心に秘めてきたけれど、顔や表情に出てしまっていたようだ。私の恋は、「恋の想いごとでもしているのですか」と、人に尋ねられるほどになって》
西沢爽作詞 市川昭介作曲 島倉千代子 昭和36年
恋をしている時は歌詞にあるように、「幸せいっぱい 胸いっぱい」ですよね。
恋をしている時ってこんな気持ちですか?と尋ねると
「私はお見合いだから恋をしたことはない」と言う人がいました。
「ご主人と恋をしたでしょう?」 と尋ねると
「そうだね、結婚してからね」とニコニコ。
お見合いで結婚した方は多いと思いますが、中には1回逢っただけ、なんて方もいらっしゃいます。
でも、結婚してから恋が始まるんですね。
《松帆の浦の夕なぎの時に焼いている藻塩のように、私の身は来てくれない人を想って、恋い焦がれているのです》
松帆とは淡路島の海岸だそうです。
藻塩とは、海藻から採る塩のことです。
《山風が吹いている三室山の紅葉で、竜田川の水面は錦のように絢爛たる美しさだ》
2番の歌詞はまるでこの歌のようですね。
《桜の花の色は、むなしく衰え色あせてしまった。春の長雨が降っている間に。ちょうど私の美貌が衰えたように、恋や世間のもろもろのことに思い悩んでいるうちに》
「色あせた桜」という歌詞があります。
この歌は、好きな人が多く、懐かしく、喜ばれる1曲です。
《いにしえの昔の、奈良の都の八重桜が、今日は九重の宮中で、ひときわ美しく咲き誇っております》
九重というのは宮中のことだそうです。
ベルを使い、桜の散る様子を表現しましょう。
桜が散っているように鳴らしてください、と説明すると、鳴らし方を工夫し、
自分なりに表現する人が何人か現れるでしょう。
楽器活動については会員登録の上「音楽療法のヒント!」をご覧ください。
蛇足ですが
百人一首に出てくる単語をひろい、どの単語が多く使われているかを調べてみました。
結果は以下のようになりました。
①月
①秋
③恋
④夜
⑤花・桜
月と秋は同数。
花と桜は同じこととして数えました。
月、秋、恋という言葉がでてきます。
もう1曲。
桜、月が出てきますね。
今回はお正月の遊びの一つ、いろはかるたにちなんだプログラムです。
読み札を読むと、みんなニコニコしてその続きを口々に言ってくれるでしょう。
いろはかるた、百人一首は喜ばれますから一つ持っているといいですね。
あらかじめ選んでおいた
「犬も歩けば棒に当たる」
「律義者の子だくさん」
「楽あれば苦あり」
「割れ鍋に綴じ蓋」
「負けるが勝ち」
「芸は身を助く」
「頭隠して尻隠さず」
「鬼に金棒」
「旅は道連れ世は情け」
のカードを引いてもらい、それにちなんだ歌を歌います。
カードを引く人は年男、年女の方からまず引いてもらいまいした。
歌唱活動
「犬も歩けば棒に当たる」
「うらのはたけでポチがなく」で始まりますね。
正直爺さんといじわる爺さんの対比が楽しい歌です。
いじわる爺さんは最後、牢屋につながれてしまうのですね、忘れていました。
「律義者の子だくさん」
参加者の皆さんの年代はは兄弟姉妹がたくさんいる方も多いですね。
兄弟の人数を尋ねてみましょう。
七つの意味は、七羽なのか七歳なのかは不明ですが、今回は七羽として歌います。
「楽あれば苦あり」
「人生楽ありゃ苦もあるさ」で始まる、お馴染み「水戸黄門」の主題歌ですね。
手ぬぐい体操など身体を動かす活動にも使える曲です。
手ぬぐい体操については会員登録の上「音楽療法のヒント!」をご覧ください。
「割れ鍋に綴じ蓋」
「下げた手鍋のその中にゃ 明日の飯さえなかったな おまえ」
歌詞の中に「鍋」が出てくる珍しい歌なので選んでみました。
歌自体は、みなさん特に男性がお好きですね。
「負けるが勝ち」
「勝つと思うな 思えば負けよ」で始まります。
言葉の意味は違いますが、勝ち負けが出てくるので選んでみました。
「負けるが勝ち」とはどんな意味でしょうか、皆さんで意見を出し合うのも楽しいですね。
「芸は身を助く」
越後獅子というのは新潟県の芸能です。詳しくはこちらをお読みください。
「芸は身を助く」私たちにも言えますね。
「頭隠して尻隠さず」
高齢のかたもよくご存知の歌です。
「鬼に金棒」
誰もが知っている歌ですね。
6番まで全部歌うと物語が完結します。
6番の歌詞、「ぶんどりもの」と言う表現はこの時代を表していますね。
「旅は道連れ世は情け」
よく読むと意味が分かります。
「函谷関」とは中国の関所のことだそうです。
敵の侵入を防ぐために作られた関所。越えるのは大変だったのでしょうね。
「羊腸の小径」は「つづら折り」。くねくねしている道のこと。
「一夫関にあたるや 万夫もひらくなし」一人の兵が守ればたとえ1万人が攻めてきても守れる、ということ。
詳しくはこちらをお読みください。
私はこんなふうにカードを選び、選曲してみました。
みなさんならどんなカードと歌にしますか?
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お正月にふさわしい歌を使ったプログラムです。
歌唱活動
この歌は外せませんね。
70代以上の方は子どもの頃、元旦には学校へ行ってみかんと紅白まんじゅうをいただいたそうです。
袴をはいて行ったという方もいらっしゃいました。
四方拝といって東西南北にむかって拝む、という儀式があったそうです。
http://www.kitashinanoji.com/kyodonodento/furusato/ohanashi/43shihouhai.html
戦前までは四大節が重要な学校行事だったそうです。
ほとんど全員が大きな声で歌います。
2番の歌詞、現在とは違っています。比較するのも面白いですね。
初夢は一富士、ニ鷹、三なすびと言いますね。
この歌は男性も大好きです。
七福神の宝船の絵を枕の下に敷いて寝るといい初夢が見られる言い伝えがあるそうです。
《越天楽今様》のメロディです。とてもお正月っぽい。
「めでためでたの~」というところがおめでたい。
ここで、太鼓、鳴る子、しゃもじなど鳴りものを配って、次の楽器活動に入るのもよし。
そのほか、イメージでこんな歌もいいかもしれません。
今回は「成人式」をテーマに、青春、若さなどが感じられる曲を選んでみました。
成人式は昭和21年に埼玉県蕨市の青年団が「成年式」という企画で、敗戦で虚脱状態にあった青年を励まそうと行ったのが始まりだそうです。
そういえば、思い当たることがあります。
私の父は昭和2年生まれ、大学入学で東京に出てきたものの、戦争でろくに授業も無く、勤労奉仕に駆り出されていました。8月生まれでしたので、終戦間際に徴兵検査の知らせが来て、故郷に戻ったのですが、すぐに終戦になりました。それから父は絶望して、北九州の炭坑で働こうとしたのだそうです。しかし、働こうとした炭鉱では学問をしなさい、と断られ、しばらくの間何もする気が起こらず日々を過ごしていた、と話してくれたことがあります。
昭和21年頃から始まった「成人式」ですので、昭和2、3年生まれの人は経験があるかもしれませんね。
そのころ、食べる物がろくに無かったが、1件あたり1合のもち米を出し合って、成人式にはお赤飯がふるまわれた、と記憶していた人がいました。
こういう貴重な話がたくさん出てくるといいですね。
歌唱活動
「若く明るい歌声」「われらの夢」「バラ色雲」「若い我らに鐘が鳴る」など希望に満ちた明るい歌詞になっています。
石坂洋二郎の小説「青い山脈」を題材にした映画の主題歌です。主演は池辺良と原節子です。
この歌も明るく前向きな歌です。
「戦争があって青春どころではなかった」と言われる方が多い中、「でも夢もあったよ」と言う方もいました。そんな一言が聞けたら嬉しいですね。
私はこの歌を聞くと、青い背広を着て溌剌と仕事にむかう新入社員のイメージが浮かびます。「背広」と言う言葉も今では死語に近いですね。
比較的若い方に喜ばれる歌です。男性もお好きな方が多いです。
年代を問わずに歌える方が多いです。同名の映画の主題歌です。37年頃はオリンピック前で日本に産業が起こり、前を向いて突き進んでいた時期ではなかったかと想像します。この頃の時代の映画「三丁目の夕日」をぜひご覧ください。
お正月に関係する歌と、今年の大河ドラマ「八重の桜」にちなんだ歌を選んでみました。
そして、写真にあるお正月アイテムを使って、懐かしい遊びを話しあいました。
参加者のみなさんの笑顔があふれ、たくさんの発言を引き出すことができました。
「福笑い」は前回書きました粘着テープ付き磁石を顔のパーツに貼って、白板を使って職員の方にアイマスクをしていただき、福笑いの一部始終をみんなで見て楽しみました。
「もっと右」とか「あら~変な顔になっちゃったね」とか「うまいうまい」など思わず発言が飛び出し、笑顔があふれ楽しいひと時になりました。
「いろはかるた」は、いろいろなやり方があると思いますが、私はトランプのようにして1枚引き、出た絵札を見せて、読みを答えてもらいました。
私の知らないような読みをスラスラと答える人がいたり、誰かが間違えてもみんなが考えて正解を導きだしたりと、いい活動になりました。
「けん玉」も私がやって見せると、「持ち方が違う」と正しい持ち方を教えてくれる人がいました。
その他、凧、百人一首、双六、羽つきなどもいいですね。
歌唱活動
お正月の遊びの歌ですね。この歌を歌った後に、上のお正月アイテムで遊びました。
凧上げについてお聞きすると
「昔は今みたいに電柱が無かったからね~」
「上手く上げるまでが大変なんだよ」
「走ったなあ」
「女は羽つきだね」
などの発言がありました。
お正月の2日、3日に行われるのが「箱根駅伝」。それにちなんで選曲しました。
歌詞に漢字がたくさんあります。ふりがなをふって読みやすく
しましょう。
楽器活動については会員登録の上「音楽療法のヒント!」をご覧ください。
この歌詞を読むだけでも相当頭を使いますね。意味についても皆で話しあいましょう。
「箱根八里は馬でも越すが、越すに越せない大井川」
お正月映画といえばかつては「男はつらいよ」でした。
「私生まれも育ちも葛飾柴又です・・」という寅さんの台詞も読んでみましょう。
映画には物売りの口上もいろいろ出てきます。調べて紹介するのもいいですね。
「おはら庄助さんなんで身上つぶした・・・」という台詞も入れましょう。
民謡は高齢者はたいがい好きですし、盛り上がります。
伴奏が無くても手拍子で十分歌えます。
一緒に大きな声で歌いましょう。
大河ドラマ「八重の桜」のヒロイン「新島八重」は会津の出身です。
「新島八重」は戊辰戦争の時、鉄砲を担いで男と一緒に戦いました。
白虎隊はこの頃に作られた少年兵団。会津の町が燃えているのを見て鶴ヶ城が落城したと思い、飯盛山で自害しました。
忘れている人が多いと思いますので、歌ってみて反応を見ましょう。徐々に思い出します。音楽療法士ひとりの現場なら伴奏は無くても、歌える人が前で歌詞を指したほうが参加者は歌いやすいでしょう。
「新島八重」が籠城していた鶴ヶ城から降伏する際に詠んだ歌があります。
「明日の夜は いずくの誰か ながむらん 馴れしみ空に 残す月影」
この歌をヒントに土井晩翠は《荒城の月》の歌詞を作ったという説があります。
確かに2番の歌詞は9月に落城した鶴ヶ城を霜が降りる頃に月が見下ろしているようにもとれますね。