「愛は脳を活性化する」松本元 著
今回は本をご紹介します。
私はこの本を読み、脳の働きにおいて「快」「不快」という情報がどのように影響しているか、を読み取りことができました。
【脳の活性】
★「快」情報は脳の活性が高まります。
これこそ音楽療法が行っていることですね。歌うこと、歌にまつわるエピソードを話すこと、リズムを感じること、楽器を鳴らすことなどで、参加者を笑顔にする、これが私たちの使命です。
脳の活性が高まる、とはどういうことでしょうか?
★それは、脳内(大脳皮質)に活性化物質が放出されることです。(活性化物質とはドーパミン、アドレナリン、ノルアドレナリン、セロトニンなどのこと)
★それにより、意欲があがり、学習効果が向上します。
簡単な計算ドリルや漢字練習などで脳を活性化しようとしても、その内容が「快」でなければ、効果は上がらない、ということです。
「音楽を使って楽しく脳トレ」、これは例えば色音符や色楽譜を使ったベルの和音奏、コール&エコーのようなリズムを使った活動などで十分可能だと思います。
【生理欲求と関係欲求】
★ドイツ、フレデリック二世の実験
赤ちゃんに対し、生理欲求は満たすが、言葉かけなどの関係欲求をまったく行わない実験。
これにより、赤ちゃんは全員死んでしまったそうです。
★これは、生理欲求は充足されていても、関係欲求が充足されないと脳活性が上がらない、ということです。
言葉を変えると、外部情報に対し価値を認めることができず、意欲が上がらない、ということです。
★それにより免疫活性が低下します。
私たちの現在おかれている状況もそんなことがあてはまるのではないでしょうか?私たちの生活は物質的には豊かになり、生理欲求は満たされています。しかし、関係欲求が満たされていないことで、心身に異常をきたしている人が多くいます。
さらに老人施設などでも同じことが言えます。衣食住、医療などの生活面の支援ばかりに気を取られ、関わりを持つこと、楽しみを増やすことをないがしろにしている施設がもしもあったとしたら、そこで暮らす高齢者は免疫が低下している、ということになります。
【愛は脳を活性化する】
★大脳の感覚野が損傷されていても外部状況に対する快・不快の情動判断は、大脳が正常な場合と同じように行われている。
15歳のN君の事例
下校時に交通事故にあい、右頭蓋骨が陥没し、右大脳半球の大部分が損傷し、意識不明の大重体となった。執刀医が「植物状態になる可能性が非常に高い」と言うほどの状況となった。
家族はベッドサイドで一日の大半を過ごし、彼を励ます言葉かけをしながら左半身に愛情込めた刺激を与えた。
すると、1ヶ月後には意識を回復し、現在では左半身もほぼ正常に回復し、大学に進学し普通の生活ができるようになった。
これはN君の大脳がご家族の献身的な愛を「快」情報として伝え、脳を活性化させた、ということになる。
だとすれば、音楽療法で、認知症の高齢者も「快」情報を認識し、脳に伝えることができるのではないでしょうか。
【最後に】
★心は「知・情・意」からなると言われています。
このことは「情を受け入れ(快情報を感じ)、意が向上し(脳の活性が上がって)、知が働く」と言い換えることができます。
音楽を使ってたくさんの「快」情報を与えましょう!
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