童謡・・というと施設の職員には「幼稚」「ばかにしている」などと思い、「童謡は歌わせないでください」などと言う人がいます。
また、子ども向けに子どもの声で録音した童謡のCDを流している施設もあります。
私は、どちらも間違っていると思っています。
童謡は大正時代に花開いた一つの芸術活動だったのです。
唱歌と童謡の違いを参加者の皆さんに説明しましょう。混同しているひとも多くいらっしゃるようです。
本によっては童謡と唱歌の表記が間違っているものもあるようです。
童謡についてはこちらをご覧ください。
今回は「動物を題材とした童謡」を歌いました。
歌詞に出てくるいろいろなキーワードに話しが弾み、歌唱曲が少ない割には中身の濃い1時間になりました。
歌唱活動
- 黄金むし 野口雨情作詞 中山晋平作曲 大正12年
歌詞を白板に貼ると「ああ」「懐かしい」という声が上がります。
この詞を書いた経緯についてはこちらをご覧ください。
歌を歌って話しを聞くと、黄金むし自体にあまり興味は無く、それよりも水飴の話で盛り上がりました。右上の写真をご覧ください。
水飴というと、まず上がってくるのが「紙芝居」です。70歳以上の方で紙芝居を見たことがない、という人はまずいません。それくらい紙芝居のおじさんは全国津々浦々、小さな村や町にも来ていたのですね。
こちらをお読みください。紙芝居について興味深い内容が書かれています。
実際に紙芝居師としてまだ現役で活躍されている方の映像もどうぞ。
拍子木、水飴などをリアルに見ることができます。また、紙芝居はいいところで「つづく」になる、ということも分かります。
- 金魚の昼寝 鹿島鳴秋作詞 弘田竜太郎作曲
大正8年
紙芝居のあとは金魚屋さんです。天秤棒にたらいをぶら下げて金魚屋さんは「きんぎょ きんぎょ」と言いながら売りに来たそうです。
そのうち話しは金魚すくいに発展しました。「なかなかすくえないのよね~」
今も昔も金魚すくいは楽しい縁日のひとつなのですね。
ここで、飼ったことのある動物をあげてもらいましょう。「犬」「猫」・・案外多かったのは「うさぎ」でした。その他「たぬき」「くじゃく」なんて動物まで出てきて、お隣同士のおしゃべりも始まり、一気にその場が井戸端会議のように和やかに。
- かなりや 西條八十作詞 成田為三作曲 大正7年
作詞の西條八十は詩人でありながら、生活の困窮から作詩活動を中断していた時期があったようです。この詩はその頃に書かれました。それを知ってから歌うと、4番の歌詞が切なく美しく、それが希望へとつながっていくように感じられます。
4番はその詞にふさわしく軽やかな3拍子になります。オリジナルの伴奏はとてもファンタジーです。
童謡というより、芸術作品だと感じてしまう1曲です。
飼っていた動物、たくさんあげてもらった中から「犬」と「猫」に限定し、「どちらが好きですか?」と問いかけましょう。2者択一は認知症の方もがんばって考えて答えます。考えている間、少し待ってあげましょう。参加態度が消極的な方も、好きな話題なのでしょうか、みなさん答えてくれます。
二択・三択問題については会員登録の上「音楽療法のヒント!」をご覧ください。
- 七つの子 野口雨情作詞 本居長世作曲 大正10年
「可愛い七つの子」という歌詞に注目して、七つの意味を問いかけましょう。
「七歳」なのか「七羽」なのか、これはそれぞれの人が感じることが正解です。
どちらとも言えませんが、みんなで話しあってみましょう。
歌詞の最後「まあるい目をしたいいこだよ」にこの歌のすべてが集約されているのではないでしょうか。こどもの澄んだ瞳は万国共通の宝物です。
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