カラーベルの活動

 ベルの活動についてまとめてみました

 

ベルやトーンチャイム、使われている方も多いかと思います。

 

ベルにはカラーベル、シルバーベル、ゴールドベルがありますが、使う人によってベルを使い分ける必要があります。

 

私の現場(デイサービス、特養、老健、有料老人ホーム)では、ほとんどカラーベルを使っています。

理由は4つ!

 

①ベルを色分けして使うとき、わかりやすく混乱がない

②手首を少し動かすだけで安易に音が出る(腕の力が弱い方や耳の遠い方も満足できる)

③比較的安価である

④施設にもカラーベルを備えているところがあり、それも活用できる

 

音色を考えるとシルバーやゴールド、トーンチャイムがいいのはわかっています。

しかし、高齢者の方が鳴らす分には、音色的にもほぼ問題がない、というのが長年の結論です。

うるさいな、と感じたら鳴らし方を工夫すればいいのです。

 

もちろん対象者によってベルは使い分けてください。



 


 ベルの活動は6種類あります。

  1. 和音奏
  2. ブンチャッチャ奏
  3. 1音奏
  4. 旋律奏
  5. 左右奏
  6. オブリガート奏
  7. ペンタトニック奏
  8. 曲の部分的な効果音

 

1、2、3、4、6の活動には右の写真の折り紙で作った

「色音符」というものが必要です。

色音符についてはこちらをお読みください。

 

 

 

【和音奏】

色音符を組み合わせて、和音を形成します。

たとえばCの和音は「赤・黄・水色」のグループです。

派生音は黒、白、茶などカラーベルの色以外の色音符で表します。

派生音は紛らわしいので、職員か、参加者ならば”しっかりできる人”にお願いしましょう。

よくできる方には両手に違う色をお願いしてもいいですね。

初期段階は近くの方が同じ色になるように配るとうまくいきます。

 

〔方法〕

○準備

・色音符を白板に貼っていきます。

・和音ごとに色音符をホワイトボードマーカーを使って丸で囲みます。

   Cの和音なら「赤・黄・水色」の色音符を丸で囲みます。

・和音のグループに①、②、③というように番号を振ります。

・参加者のみなさんに、自分の持っている色がどこにあるのか理解させます。

  (高齢になると「赤、オレンジ、紫」「水色、青」の区別がつかない方がいます)

   ハ長調なら「赤」を持っている方は「Cの和音」と「Fの和音」の2回

   鳴らすことになります。

 

○実践

・曲の和音に合わせ、指し棒で①とか②といった番号の部分を指していきます。

・メロディはセラピストが一人の場合は、セラピストが歌いながら指します。

   複数いる場合は指す人と、演奏する人に分かれ、

   演奏する人はメロディのみを演奏します。

・1回目は”練習”、2回目は”本番”と言って、2回以上はやりましょう。

  「できなかった」という気持ちで終わらせてはいけません。

   ・慣れてきたら、お隣同士でベルを交換して違う色も楽しみましょう。

 

 

 

【ブンチャッチャ奏】

3拍子の曲で行います。

「3拍子は、ブンチャッチャと言いますよね~」と言って、

「ブンチャッチャ ブンチャッチャ」と言いながら、ワルツを踊るような仕草をすると、

みなさん「あ~」と言って理解してくれます。

 

和音奏がしっかりできるようになったら、ブンチャッチャ奏もできると思いますので、ぜひ実践してみてください。

 

和音奏とは違った和音の響きを感じることができます。

 

もちろん、4拍子でもできます。

 

 

〔方法〕

○準備

・ホワイトボードを上下に分けて色音符を張ります。

・上に貼るのは、和音の根音(Cの和音ならド)の色です。

 ・上の色音符の下には、和音のそのほかの音(Cの和音ならミとソ)の色音符を貼ります。

・下の2つの色音符は、マーカーを使って丸で囲みます。

・全ての和音の色音符を貼ったら、ホワイトボードの色音譜の横に、上は「ブン」、下は「チャッチャ」と書きます。(鳴らす回数が分かって混乱が少ないです)

・参加者のみなさんに、ブンチャッチャと言いながら、色音符を指して鳴らす練習をします。

  

 

○実践

・曲の和音に合わせ、指し棒で色音符を指していきます。

・メロディはセラピストが一人の場合は、セラピストが歌いながら指します。

   複数いる場合は指す人と、演奏する人に分かれ、

   演奏する人はメロディのみを演奏します。

・1回目は”練習”、2回目は”本番”と言って、2回以上はやりましょう。

  「できなかった」という気持ちで終わらせてはいけません。

   ・簡単にできてしまう方がいる場合は、両手に違う色を持たせます。

 

 

 

 

【1音奏】

認知度の高いグループにお勧めの活動です。

赤・オレンジ・紫、水色・青は色の判別が難しい方がいます。

また、和音奏のようにグループ化すると混乱する方もいます。

そんな時に1音奏は、対象者が不安にならず満足感が得られます。

 

できるようになったら、2音奏にも挑戦しましょう。

 

〔方法〕

○準備

・色音符の赤・黄・緑・青又は水色を白板に貼ります。

 

・参加者のみなさんに、自分の持っている色がどこにあるのか理解させるために、

 色を指して鳴らす練習をします。

  

 

○実践

・曲の和音に合わせ、指し棒で色音符を指していきます。

 和音を構成する音なら、どの色を指してもOKです。

・メロディはセラピストが一人の場合は、セラピストが歌いながら指します。

   複数いる場合は指す人と、演奏する人に分かれ、

   演奏する人はメロディのみを演奏します。

・1回目は”練習”、2回目は”本番”と言って、2回以上はやりましょう。

  「できなかった」という気持ちで終わらせてはいけません。

   ・簡単にできてしまう方がいる場合は、両手に違う色を持たせます。

 

 

 

 

【旋律奏】

ベルでメロディを奏でます。

派生音は黒、白、茶などカラーベルの色以外の色音符で表します。

派生音は紛らわしいので、職員か、参加者ならば”しっかりできる人”にお願いしましょう。

8分音符や16分音符、譜点8分音符などはできる範囲で。

参加者の方々がよく知っている曲だと次の音のイメージがあるのでうまくいきます。

 

〔方法〕

○準備

・色音符をドレミファソラシドなど音階順に貼っていきます。

   曲によっては使わない色があったり、や貼る順番を変えた方がいい場合が

   あります。

   臨機応変に。

・色音符の上に階名を書くと、自分の音が何の音かわかり、満足度が高くなります。

・参加者のみなさんに、自分の持っている色がどこにあるのか理解させます。

  (高齢になると「赤、オレンジ、紫」「水色、青」の区別がつかない方がいます)

  

 ○実践

・色音符を指して、メロディを奏でます。

・最初はセラピストは歌いながら指すと、参加者にわかりやすいです。

・よくできるようになったら、歌わないでベルの音だけで演奏します。

・長く伸ばす音はトレモロにするなど奏法を工夫しましょう。

・慣れてきたら、お隣同士でベルを交換して違う色も楽しみましょう。

 

 

 

【左右奏】

『どこかで春が』など主和音と属和音(属7和音)だけでできている曲で行います。

下属和音など他の和音が出てくる曲は、その和音だけ他の方が鳴らすことで対応できます。

(例えば片手が不自由な方に担当いただくと喜んで鳴らしてくださいます)

 

〔方法〕

○準備

右手に主和音の音、左手に属和音(属7和音)の音を配ります。

   (例えば、ハ長調なら右手にド、ミ、ソのいずれかを渡し、

    左手にはソ、シ、レ、(ファ)のいずれかを渡します)

・白板に大きく「右」「左」の文字を書きます。

  

 ○実践

・曲の和音に合わせ、「右」、「左」を指します。

・メロディはセラピストが一人の場合は、セラピストが歌いながら指します。

   複数いる場合は指す人と、演奏する人に分かれ、

   演奏する人はメロディのみを演奏します。

・1回目は”練習”、2回目は”本番”と言って、2回以上はやりましょう。

  「できなかった」という気持ちで終わらせてはいけません。

 ・下属和音など他の和音が多少入る曲の場合は、片麻痺の方などにその和音の音を

 お願いするといいですね。

 

○この活動でできる曲

・肩たたき、故郷の空、ちょうちょう、どこかで春が、花など唱歌や童謡に多いです

・シューベルトの子守歌

 

 

 

【オブリガート奏】

ベルでオブリガートを奏でます。

派生音は黒、白、茶などカラーベルの色以外の色音符で表します。

派生音は紛らわしいので、職員か、参加者ならば”しっかりできる人”にお願いしましょう。

参加者の方々がよく知っている曲だと次の音のイメージがあるのでうまくいきます。

 

〔方法〕

○準備

・色音符を鳴らす順に貼っていきます。

・参加者のみなさんに、自分の持っている色がどこにあるのか理解させます。

  (高齢になると「赤、オレンジ、紫」「水色、青」の区別がつかない方がいます)

  

 ○実践

  • 花 喜納昌吉作詞作曲 石嶺総子歌 昭和55年

沖縄音階を使ったベルによるオブリガート奏です。(キーはC)

昭和55年のヒット曲ですが、意外に高齢者の方もよく知っています。まずはどんな歌か一度歌ってみます。

次に、沖縄の音階を説明します。実際に鳴らしてみると「ほ~」と納得する人がいます。

ドミファソシ」と白板に書き、色音符をその上に貼っていきます。

白板に左から「ドミファソシ」と書くので、ベルも左から配って行きましょう。

曲に合わせて、色音符を指していきます。順番になっていないところがポイントです。

 

 かわは ながれて どこどこ いくの

ド   ミ    ファ   ソ 

ひとも ながれて どこどこ いくの

ド   ミ    ファ   シ
そんな ながれが つくころには

ド   ミ    ファ   シ
はなとして はなとして さかせてあげたい

ド     ファ    ソ      ド
なきなさい わらいなさい

ド   ミ ファ  シ    
いつのひも いつのひも はなをさかそうよ

 ド     ファ    ソ      ド

 

 

  • 港が見える丘 東辰三作詞作曲 平野愛子歌 昭和22年

横浜の港が見える丘公園はこの歌のヒットでその名がついたのだそうです。

桜の花びらがチラリホラリと散っている、そんな頃に歌うのもいいですね。

 

ハ長調で最初の4小節に注目してみましょう。

2拍ずつで、C、E7、Am、Em、C、E7、Am、Emと同じコードが繰り返されます。

伴奏ではベースとしてド、シ、ラ、ソ、ド、シ、ラ、ソと弾きますね。

このことにヒントを得て、C(赤)、B(紫)、A(青)、G(水色)、F(緑)の5種類の音を使ったベル(トーンチャイム)のオブリガートを考えました。

すべて2拍ごとに鳴らします。

 

あなたと ふたりで きた おかは みなとが みえる おか  いろ

ド    シ    ラ   ソ  ド    シ    ラ ソ

あせた さくら ただひとつ さみしく さいて いた  ふね

ド   シ   ラ   ファ  ド  ソ    ド ド

のきてき むせびなけば   ちらりほらりと はなびら あな

ド  シ  ラ   ファ ド   シ    ラ  ソ

たとわたしに ふりかかる   はるの ごごでした

ド  シ   ラ   ファ ド    ソ   ド ド

 

白板に赤、紫、青、水色、緑の色音符を貼り、指し棒で指示します。

ベルの配り方は貼る順番に参加者に向かって右からド、シ、ラ、ソ、ファと配るのが分かりやすくていいと思います。

最初に何度か練習をし、ド、シ、ラ、ソ、ファという音の順番に並んでいることを理解させましょう。

 

 

  • 鈴懸の径(Em)

最初の8小節と同じメロディが17小節からもでて来ることに注目しました。

白板に紫(シ)、青(ラ)、水色(ソ)、黄色(ミ)、オレンジ(レ)、赤(ド)の順に色音符を貼ります。 

8小節鳴らしたら、次の8小節は休み、また8小節鳴らして、次の8小節は休みです。

 

き みと かたら ん す ずか けのみ ち

  シ  ラ   ソ   ミ  レ   ド

かよ いな れた る まな びや のま ち

 

や さし のこす ず は かげ になれ ば

  シ  ラ   ソ   ミ  レ   ド

ゆめ はか える よ すず かけ のみ ち


《鈴懸の径》は歌える人は多くありませんので、メロディはセラピスト側でしっかりと演奏しましょう。歌詞は無い方が数字に集中できます。

 


・曲に合わせて、色音符を指していきます。

・メロディはセラピストが一人の場合は、セラピストが歌いながら指します。

   複数いる場合は指す人と、演奏する人に分かれ、

   演奏する人はメロディのみを演奏します。

・慣れてきたら、お隣同士でベルを交換して違う色も楽しみましょう。




【ペンタトニック奏】

五音音階などの曲でペンタトニックの音を配り、自由に鳴らします。

音でイメージを表現する、即興的な使い方です。

〔方法〕

○準備

・音楽のイメージを話し合いましょう

・ペンタトニックの音を配り、話し合ったイメージを音で表現します。

  

 ○実践

・『さくらさくら』は花びらが散る様子を表してみる

・『蛍の光』は蛍の灯り、またはお別れの気持ちを表してみる

・『家路』は夕方、家々に灯がともる様子を表してみる

・『赤とんぼ』は夕焼け空を表してみる

・ほかにも色々な曲がありますし、表現もいろいろあると思います。



 

【曲の部分的な効果音】

効果音としてベルを鳴らします。

 

〔方法〕

○準備

・必要な色音符を白板に貼ります。

  

 ○実践

  • ドレミの歌 ペギー葉山作詞 Richard Rodgers作曲 ペギー葉山歌 昭和36年

アメリカ映画「サウンド・オブ・ミュージック」の中の1曲です。
ペギー葉山がアメリカでこの歌を聞き、作詞をして日本に紹介しました。

それ以来、日本全国老若男女に親しまれています。

高齢者ももちろん歌うことができます。 

 

まず、一度歌を歌い、その後、ドからシまでベルを配ります。

歌を歌いながら自分の音になった時にベルを鳴らします。

できるようなら、中間部「ドミミ、ミソソ、レファファ、ラシシ、から、ソードーラーシー、ドーレードー」まで演奏してみましょう。

 

 

  • 鐘の鳴る丘 菊田一夫作詞 古関裕而作曲 川田正子歌 昭和22年

菊田一夫が書いたラジオドラマの主題歌です。

「鐘が鳴りますキンコンカン」の「キンコンカン」をベルで演奏しましょう。

 

 

  • 森へ行きましょう ポーランド民謡 東大音感合唱団

ショパンはポーランド生まれです。

ポーランドのポーのいうのは草原という意味があるそうです。

 

民謡ですので「アハハ」という掛け声が入ります。

ここをベルで鳴らしてもらいましょう。

白板に色音符を貼って2種類の「アハハ」と「アハハハハ」を練習します。

最後の「ランラララン~」のところは長いので和音奏にしてみましょう。

今回のベルの活動は色音符を使った、旋律奏と和音奏を組み合わせた形になります。

参考までに、調はFにしました。

和音は複雑にならないようにFとCの2種類で行いました。

 

 

  • 小鳥の歌 与田準一作詞 芥川也寸志作曲 昭和30年

「ピピピピピ チチチチチ ピチクリピイ」のところをベルで旋律奏してみました。

色楽譜を貼って、

その色楽譜の上に「ピピピピピ チチチチチ ピチクリピイ」と書いて分かりやすくします。

少し練習してから曲として完成させましょう。

 

 

  • 愛して愛して愛しちゃったのよ 浜口蔵之介作詞作曲 

和田弘とマヒナスターズ歌 昭和41年 

「らららんらん」が何回も出てきます。

ここの部分をベルで演奏すると楽しいです。

職員の方(3人が望ましい)にお願いし、まずはモデリング。

参加者は「らららんらん」以外の部分を歌います。

職員が上手くできても拍手、ちょっと失敗しても拍手、とても楽しいです。

できそうなら職員の方と一緒に参加者が同じようにベルを受け持つのもいいでしょう。うまくいってもいかなくても、終わった後には皆でベルを振ってくださった方に盛大な拍手をして称えましょう。

この曲のように同じメロディが何回も繰り返される曲は工夫すると楽器活動に効果的に使えます。
《アイアイ》《いい湯だな》《肩たたき》《世界の国からこんにちは》《小さい秋みつけた》
(《荒城の月》《さくらさくら》《どこかで春が》《浜辺の歌》《バラが咲いた》《春の小川》《冬の星座》《蛍の光》)

 

 

  • 長崎の鐘 サトウ・ハチロー作詞 古関裕而作曲 藤山一郎歌 昭和24年 

ベルで鐘を表します。

「なぐさめ励まし~」長調に変わったところからベルを鳴らします。

音はその調の主和音がいいと思います。

最後ベルを長く鳴らし、祈りの気持ちを表しましょう。