以下の見出しをクリックするとそのプログラムへ飛びます
○ 戦前の歌謡曲
○ 赤い実
○ 菫(スミレ)
○ 嘘
○ お蕎麦
〇 桜
〇 手作り石鹸
〇 運動会
〇 太陽系の惑星たち
〇 経済事情今昔
〇 午年
〇 白い花
〇 ラジオ歌謡
〇 源氏と平家
終戦後、昭和20年代の歌謡曲はどのような傾向にあったのでしょうか。
ヒット曲を調べてみると道筋が見えてきます。
終戦後しばらくの間は「戦争、焼け跡、復員、捕虜」といったキーワードの曲が流行しました。
まずはそれらの歌から始めましょう。
今言われている歌謡曲という言葉は、昭和に入ってからできたもののようです。
大正時代にも、いわゆる歌謡曲はありましたが、それらは「流行歌」と呼ばれていました。
流行歌の第1号は『カチューシャの唄』です。
『カチューシャの唄』は大正3年に、大流行しました。
今回は戦前までの流行歌、歌謡曲について、私なりに纏めたプログラムとなっています。
明治時代には唱歌が、大正時代には童謡が、戦前には国民歌謡が、そして戦後はラジオ歌謡が生れました。
歌にはいろいろなジャンルがありますが、
今回はこれら4つの歌唱曲について説明をしながら進めていくプログラムです。
【唱歌】
先ずは唱歌から歌っていきましょう。
唱歌は、明治時代になり、子どもが学校で勉強する歌がなかったので、作ろうということで生まれました。
戦前までは教科の名前は「音楽」ではなく「唱歌」だったのです。
下に上げた歌は春の歌ですが、季節ごとに唱歌はありますので、季節に合った唱歌を歌いましょう。
右の写真の赤い実は何の実でしょうか?
と質問すると
「南天」と何人かが答えることでしょう。
南天は葉と実の付き方に特徴があります。
実は葡萄のように房状に実ります。
南天はお正月に飾られますが、
「難を転じる」と語呂合わせできたり、
赤い実には厄除けの意味合いがあったりするのだそうです。
今回はいろいろな歌に出てくる「赤い実」のプログラムです。
古き良き時代、映画やお芝居には
心優しく仁義に厚い「渡世人」や「旅烏」が出てきました。
私の子供の頃にも「木枯し紋次郎」という人気テレビ番組がありました。
また、「金色夜叉」に代表するような
「男女の恋物語」もたくさんあります。
高齢の方々にとって
若い頃、映画やお芝居を見に行った想い出が
懐かしく思い出されることでしょう。
今回は「やくざと物語」のプログラムです。
「4月1日は何の日でしょう」と白板に書きます。
ほとんどのところで「エイプリルフール」と答えが返ってくることでしょう。
そう、今回は「嘘」をテーマにしたプログラムです。
「嘘をついてもいい日」と白板に書き、
「嘘をついたことありますか?」と尋ねます。
みなさん、「ニヤニヤ」(^^)
4月でなくても、
今巷にたくさんある、「嘘」にまつわる話題を例にあげてもいいですね。
「嘘」をテーマに楽しく会話をしながら
ちょっぴり自分のことに重ね合わせたり、
世の中のいろいろな嘘にまつわる事柄を考えたり
嘘のつく諺を思い出してもらったり
そんなプログラムができました。
10月下旬から11月上旬にかけては
「新蕎麦」の時期なのだそうです。
右の写真は蕎麦の花。
白が一般的ですが、ピンクもあるそうです。
懐かしそうに写真に見入っている方がいらっしゃいました。
今回は「蕎麦」がテーマです。
なお、写真の取り扱いにはご注意ください。
桜の季節にこんなプログラムはいかがでしょう?
日本各地の桜の名所をお見せしながら進めていきます。
視覚と聴覚を使うプログラムです。
実際に桜を持参し、花のの香りを嗅いでいただいたり、花に触ってもらったりすれば、嗅覚も触覚も使えますね。
桜は誰もが好きな花ですから、興味深く写真を見て、自然と笑顔になりますよ。
まずは鹿児島チェリーラインです。
海と桜のコントラストがいいですね。
弥生の空はと歌われていますので3月には歌いたいですね。
皆さん大好きな歌です。十五夜お月さんが出ていて、桜吹雪が散っていて、その中に花嫁姿のおねえさま。想像してみてください。とても綺麗ですね。
ところで、このお嫁さんは夜にお嫁にいくのでしょうか?とお聞きしたところ
「昔は夜だったんだよ」
「提灯を持ってね」
「車って言ったっていいところでは輪タク、私なんかリヤカーだったよ」
「支度が出来上がると、近所の人が見に来るんだけど、恥ずかしかったな」
などと夜にお嫁に行ったらエピソードがたくさん聞けました。
最近、私は【手作りの豊かな生活】ということを心がけて暮らしています。
石鹸もそのひとつ。
この手作り石鹸をお見せして、
視覚、触覚、嗅覚、聴覚に働きかけるプログラムをつくってみました。
◆まずは視覚
「みなさん、これ、何に見えますか?」と問いかけます。
そして、一人ひとりの近くまで行きお見せします。
「なんだろう?」
「石?」
「大理石?」
「羊羹?」
「きんつば?」
「いや、これはなにか化学的なものだね」
・・・
こんなふうに興味を持たせて、近くまで行くと、
それまで寝てた人が起き出したり
メガネをよーくかけなおしたり
みなさんが興味津々になっていくのが分かります。
◆お次は嗅覚
「では匂いを嗅いでください~」
みなさん、クンクンと鼻を近づけます。
案外、好奇心旺盛なんですね!
でも、意外と匂いを感じられない人もいます。
今まで嗅いだことのない香りだからでしょうか?
実際にはアロマオイルの「ラベンダー」の香りがほんのりとするのですが。
◆そして触覚
「実際に触ってみてください~」
勘のいい人はここらで分かります。
「石鹸?」
こうして最後にこれが「石鹸」であることを発表します。
しかも「手作り」!!
「手作り」だとわかると皆さん大変驚かれます。
流石に石鹸を作ったことがある人はいませんでした。
なかなか音楽に入りませんが
いいんです(^^)
導入ってすごく大事ですから
歌唱活動
シャボンとは外来語で石鹸のこと。
ポルトガル語だそうです。
しかし、「シャボン玉」って、すごくいい言葉ですよね~
「石鹸玉」じゃあ、フワフワ飛びそうもないですね。
ここからはお風呂に関する歌を歌っていきます。
伊豆にはいい温泉がたくさんありますね。
参加者の方も行ったことがある温泉が一つはあるのではないでしょうか?
「お医者様でも 草津の湯でも ハドッコイショ 惚れた病は コリャ 治りゃせぬよ チョイナチョイナ」
この歌詞はぜひ歌いたいですね。
みなさんが歌いながらニコニコしますよ。
「小原庄助さん なんで身上つぶした 朝寝朝酒朝湯が大好きで~」も必ず入れましょう。
楽しくなる曲です。
「運動会」のプログラムです。
参加者の皆さんがニコニコになる活動が
揃いました。
手拭いやお手玉を使います。
春や秋の運動会シーズンにどうぞ。
歌唱活動
3番に「小学校の運動会」という歌詞が出てきます。
幼なじみが幼稚園に入り、小学校の運動会で徒競走をします。
さて、勝敗は?
歌いながらニコニコになりますよ。
歌い終わったら、子どもの頃足が速かったのか、遅かったのか聞いてみましょう。
体育の先生は「厳しい、恐い」という印象の人が多かったように感じます。
それとも初恋しましたか?
みなさんはいかがですか?
さあ、次は準備運動です。
歌いながら行うと、ついリズムに乗って手を動かしてしまいますよ。
さらに、歌が終われば運動も終わるので安心して行えます。
グーパーをしたり、腕を上げたり、できる範囲で行ってください。
次は下半身の運動です。
足踏みをしたり、足首を動かしたり、腕を振ったり、楽しくやりましょう。
太陽の周りを回っている惑星たち。
子どものころ
「すいきんちかもくどってんかいめい」などと覚えませんでしたか?
今回はとても神秘的な惑星を紹介しながらのプログラムです。
理科の授業みたいになってしまうかな、と危惧しましたが、全く問題ありませんでした。
みなさん、真剣に写真を見て、「へ~」「ほ~」などと感嘆の声を上げます。
星たちの大きさも様々ですね。
感じたことは、
幾つになっても、「新しいことを知りたい」「学びたい」という気持ちがあるということでした。
明治維新後、永い間の鎖国を廃止し、西洋の文化が流入してきました。
学校教育にも音楽の時間が必要だということになりましたが、教えようにも教師が音楽を知りません。
そこで井沢修二を中心とした「音楽取調掛」ができ、最初の「唱歌集」ができました。
初期は西洋の曲に日本語の歌詞をつけたものが多く、日本人の作った曲は少なかったのです。
だんだんに日本人による「唱歌」が生まれましたが、ほとんどは作者不詳となっています。
これは当時は著作権という考え方も無く、学校教育で使うということから、作者を明らかにしない方針だったからです。
唱歌は高齢者の方々の記憶に深く刻み込まれています。
認知が重い方も、懐かしいメロディを聞くと、かなり早い段階で脳が活性化し、歌詞を思い出すことができます。
そして歌えば、不穏さや無表情さがなくなり、目に光がともり笑顔が表出しますとしに
これはみなさんも何度も経験していますね。
豊かな和声の音楽はとても美しく、私たちの心に響きます。
心が浄化されていくような感じがします。
今回はそんな清らかな心になっていただこうと「西洋の曲に日本語の歌詞が付いた曲」のプログラムを作ってみました。
このプログラムが終わった後に「今日は格が上がった」と言った方がいました。
満足されたことと思います。
歌唱活動
オードウェイはフォスターと同時期の作曲家です。ベートーヴェンの第9交響曲が初演された年(1824年)に生まれました。
もう日本の曲かと思われるほど定着している曲ですね。
今回のテーマはサッカーをキーワードに「勝負」に関連したプログラムです。
歌唱活動
藤山一郎歌 昭和12年
日本代表の色は?と質問してみました。
割合とお元気なしっかりとした方が「青」と答えることができましたが、やはり反応は弱かったです。
白板に「侍ブルー」と書くと、少し反応がありました。
この歌は明るく快活なリズムで、歌っている皆さんはとても明るく、楽しそうになります。
西条八十の作詞なんですね、改めて驚かされました。
西条八十は明治25年、1892年生まれです。
この歌は69歳の時の作品です。
将棋の世界も勝負という意味では同じ。
とても勇ましい歌で、男性もお好きです。
「勝つと思うな 思えば負けよ」と始まる男らしい歌です。
この歌詞にはみなさん「うーん」と納得。
どんなスポーツしてましたか?など質問するのもいいですね。
意外な素顔が見られます。
曲名を聞くと「ああ、懐かしい」と言う声が聞こえます。
楠正成のことを歌った唱歌です。
南北朝時代、南朝側につき、後醍醐天皇に使えた武将です。
これを機にこの頃の勉強をしてみたくなりました。
参加者のみなさんは、歌とは別に歴史で勉強した、と教えてくれました。
歌の舞台は兵庫です。
誰もが知っている白虎隊の悲劇。涙される方もいます。
「まだ若いのにね」「助かったのにね」と感想を言われます。
途中に詩吟が入ります。
歌の舞台は会津です。
映画「伊那の勘太郎」の主題歌です。
幕末に尊王攘夷側について戦った架空の人物です。
節回しが難しい個所があります。音源を聞いてみてください。
歌の舞台は伊那です。
こちらは実在の人物。国定忠治の歌です。
時は江戸時代後期、黒船が来航する5年前に亡くなっています。
ばくちの強い人で、伊勢崎市にある墓はギャンブルに勝ちたい人が削ってボロボロになっているそうです。
浪曲、新国劇でも盛んに取り上げられました。
歌の舞台は赤城山です。
楽器活動
毎日毎日の努力の積み重ね、ということでこの歌を歌います。
体操にもってこいの歌ですので、いろいろな体操を考えてみてください。
歌に合わせて体操をすることの良さは、安心してできるところ。
多少息が切れても、曲を知っていれば、あとどれくらいなのか分かるのでがんばれます。
歌った後に、楽器を配り、自由に鳴らしたり、数を決めて鳴らしたり、交互に鳴らしたり、楽器ごとに鳴らしたり、と工夫してみましょう。
「体操は疲れたけど、楽器は楽しいからつかれないね~」と言った人がいました。
歌った後にベルの旋律奏をします。
何回かやると、認知のある方もできるようになります
楽器活動については会員登録の上「音楽療法のヒント!」をご覧ください。
鑑賞
ブラジル音楽、色々ありますから演奏を聞いてもらいたいですね。
私は哀愁のあるこの曲を演奏しました。
4月から消費税が上がりましたね。
ということで、今回は「経済事情今昔」みたいなプログラムを考えてみました。
身近な話題から、回想したり、現在を考えたり、社会の一員としての自覚を促すのが目的です。
しかし、一番大切なことは「笑顔」。
笑いが起こればそのセッションは成功した、と言えると私は思っています。
歌唱活動
林伊佐緒・新橋みどり歌 昭和12年
「4月から何か変わりましたね~」と問いかけます。
「消費税」と白板に大きく書き、少し説明を加えます。
そして「お給料が上がればね~」と言ってから、こんな曲が、と取り出すと笑いが起こりますよ。
みなさん、懐かしそうに楽しそうに歌われます。
昭和12年は景気がとてもよかったそうです。下の映像は昭和12年だそうですが、女性は着物に羽織、男性は背広に帽子、ととてもおしゃれです。
この歌はそんな世相を表しているのでしょう。
当時学校の教師の月給は76円、背広は50円、パラソルは10円だったそうです。
今年は午年。遅ればせながら「午年」をテーマにプログラムを作ってみました。
さて、「午」という文字。これは「午前」「午後」「正午」のように使われますよね。これは江戸時代、時間を干支に当てはめていたことによります。午の刻は11時から13時までの2時間。なので12時は正午、それより前が午前、後が午後となります。
皆さんはご存知でしたか?
歌唱活動
私の住む町のデイサービスでは、子どもの頃馬を飼っていたという方が割といらっしゃいます。農家では馬が大変な働き手だったのですね。家族同然に大切に育てた馬を、戦時中は供出しなければいけませんでした。
この歌も映画の主題歌では戦争の影響を受けた歌詞になっていたようです。
尋常小学唱歌です。4年生の教科書に載っていました。
唱歌ですのでほとんどの人が知っています。そればかりか「懐かしい」という声がとても多く出ました。
3番の歌詞に「春くりゃ 偲ぶ 馬の市」という歌詞があります。
その他にも機織り、乗合バスなど懐かしい言葉がでてきますね。
メロディも歌詞も私たちの心に沁みいるようですね。
この歌を聞いて、同じ境遇だった頃を懐かしむ方もいれば、悲しい思いになる方もいます。どちらの場合も、その思いを受け入れ、受容することが大切です。
戦争が終わってからも復員兵を探すラジオ番組で盛んに流れていたのだそうです。
そのせいでしょうか、皆さんよく知っています。
童謡・・というと施設の職員には「幼稚」「ばかにしている」などと思い、「童謡は歌わせないでください」などと言う人がいます。
また、子ども向けに子どもの声で録音した童謡のCDを流している施設もあります。
私は、どちらも間違っていると思っています。
童謡は大正時代に花開いた一つの芸術活動だったのです。
唱歌と童謡の違いを参加者の皆さんに説明しましょう。混同しているひとも多くいらっしゃるようです。
本によっては童謡と唱歌の表記が間違っているものもあるようです。
童謡についてはこちらをご覧ください。
今回は「動物を題材とした童謡」を歌いました。
歌詞に出てくるいろいろなキーワードに話しが弾み、歌唱曲が少ない割には中身の濃い1時間になりました。
歌唱活動
歌詞を白板に貼ると「ああ」「懐かしい」という声が上がります。
この詞を書いた経緯についてはこちらをご覧ください。
歌を歌って話しを聞くと、黄金むし自体にあまり興味は無く、それよりも水飴の話で盛り上がりました。右上の写真をご覧ください。
水飴というと、まず上がってくるのが「紙芝居」です。70歳以上の方で紙芝居を見たことがない、という人はまずいません。それくらい紙芝居のおじさんは全国津々浦々、小さな村や町にも来ていたのですね。
こちらをお読みください。紙芝居について興味深い内容が書かれています。
実際に紙芝居師としてまだ現役で活躍されている方の映像もどうぞ。
拍子木、水飴などをリアルに見ることができます。また、紙芝居はいいところで「つづく」になる、ということも分かります。
梅雨にはまだ少しありますが、花屋の店先でこんなステキな紫陽花を見つけました。
今回はこの「白い紫陽花」をテーマにプログラムを作ってみました。
ちなみにこの白は花の終わり頃に緑になるのだそうです!
最近の音楽療法にはこの紫陽花を持参し、まず実際に愛でていただいてから歌唱に入ります。
「きれいね~」「めずらしいなあ」「本物?」などの声や、実際に触ってみる方、香りをかいでみる方、鉢ごと抱きつく方、涙ぐむ方、拝む方・・・などなど、いろいろな反応がありました。
歌唱活動
皆さんの大好きな歌です。歌詞に泣かされます。「白い花ってどんな花のことなんでしょうね」と皆さんに問いかけてみましょう。
男性もお好きな歌ですね。くちなしの花は白くていい香りがします。実は黄色くてお料理の着色に使われます。昔は家で作るお正月の栗きんとんの着色に使ったと懐かしそうに話された方がいました。
みかんの花も白いですね。母の日にも歌いたい1曲です。
歌唱・楽器活動
関種子・井上ひろし歌 昭和10年・35年
関種子が昭和10年にヒットさせましたが、その後昭和35年に井上ひろしがカバー。関種子を上回る大ヒットとなったそうです。井上ひろしのほうは完全なムード歌謡ですが、どちらもタンゴのリズムが使われています。井上ひろしの方は間奏にハバネラのようなミロンガ(タンゴではこう言うようです)というリズムの上でサックスが甘く切なく歌っています。私はこのリズムで伴奏していますが、みなさまはどうでしょうか?
一度歌った後、クラベス、鳴る子、しゃもじ、ウッドブロックなど木の楽器を配り、単語のリズムで合奏をしましょう。
楽器活動については会員登録の上「音楽療法のヒント!」をご覧ください。
参考:白い花の歌 (まだあったら教えてください)
・夏の思い出(水芭蕉)・からたちの花・からたち日記・シクラメンのかほり(真綿色したシクラメン)・柿の木坂の家・赤い花白い花・カチューシャ(りんごの花ほころび)・りんご追分・りんごの唄・りんごのひとりごと・高原列車は行く(山百合)・夏は来ぬ(卯の花)・湯島の白梅・北国の春(こぶし)
音楽療法のプログラムはたいてい音楽療法士が選曲をしてしまいます。
でも、歌う歌を参加者が選ぶ、というのもいいんじゃないかな、と考えました。
そこで、今回は「歌を選ぶ楽しさ」も目的の一つにしました。
いくつかの曲の中から一つに決める、という作業は
「曲名を見る」「メロディを思いだす」「回想する」「選択する」「他の人にも注目」
ということのほかに、「わくわく」「ドキドキ」のような楽しい気分も味わえます。
選べる人、選べない人、いろいろですが、意外な人が選ぶことができたり、「え~この人がこの曲を選ぶんだ~」という嬉しい驚きがあったりします。
選ぶ歌には当然、テーマがあるのが望ましいでしょう。
今回は「ラジオ歌謡」の中の曲をセレクトして、参加者に提示しました。
「ラジオ歌謡」は昭和21年から37年まで続いた人気番組。この番組で歌われた歌は数えきれないくらいたくさんあります。詳しい曲目はこちらを参考にしてください。http://www.rajiokayou.net/list.html
昭和20年代は、80代70代の方にとって青春の時代です。懐かしい思い出が歌とともに蘇ることでしょう。
今回私が選んだ曲は以下の10曲です。
「朝はどこから」「この道」「椰子の実」「山小舎の灯」「さくら貝の歌」「あざみの歌」「白い花の咲く頃」「森の水車」「雪の降る街を」「小さい秋みつけた」
ポイントは1曲ずつ白板に書いていくこと。その時に最初の一節を歌います。ほとんどの方が一緒に歌いだします。それも楽しいひと時ですし、曲の確認ができます。
私は人気上位3曲ないし4曲を歌いました。
ちなみに、「山小舎の灯」「さくら貝の唄」「あざみの歌」「白い花の咲く頃」「雪の降る街を」「小さい秋みつけた」が人気がありました。
選ばれた曲はみなさんの大切な気持ちがこもっています。1曲ずつ丁寧に掘り下げてみましょう。
歌唱活動
北原白秋が北海道を旅行してこの詩ができました。「赤い鳥」に発表したのは大正15年です。その後、山田耕筰が曲をつけたのが昭和2年です。
この歌詞が北海道を表している、と言うと、「へえ」と感心されます。北海道の思い出や時計台のこと、アカシアの花など会話が弾みます。
急に歌うのは難しい歌です。「ああ そうだよ」のところ、部分的に練習してから歌唱しましょう。
海岸に流れ着いた一片の椰子の実にこれほどまでに思いを寄せ、わが身を振り返る藤村の歌詞は本当に素晴らしいと思います。音読してその素晴らしさを感じ合いましょう。
登山やハイキングが趣味だった方は多くいらっしゃいます。思い出や苦労話をお聞きしましょう。
初恋のはかない想いに溢れている作品です。作詞者は初恋の人を病に亡くし、この詞を書いたそうです。
2番まで歌うと、コーダに入ります。「ああなれど わが想いは儚く~」と言う部分です。ここは最初に説明しメロディを歌ってあげましょう。
なぜか男性が好む歌です。男性にとってはあざみのように、ひそやかだが芯のある人が理想なのでしょうか。倍賞千恵子が歌ったことも影響しているかもしれません。
白い花とはなんの花なのでしょう?みなさんで想像してみましょう。
幼なじみと別れてひとり旅立ち故郷を想う、という歌は本当に多いですね。
「まして心の花園に」の部分、声が急に高くなります。歌う前にそこだけ練習するのもいいでしょう。
昭和17年
水車と言うのとは少し違いますが、田んぼに水を引く時、足で踏んで水を入れる水車のようなものがあったそうです。すると「そうそう」と同意する人がたくさん現れました。土地によって違うと思いますが、そんな思い出を引き出せた時はみんなが笑顔になります。
雪国育ちの私には「足音だけが追いかけていく」という表現が沁みます。雪は音もなく降り続きますが、あたりの音を全部吸収してしまうので、歩く足音だけが聞こえるんです。
歌の最後はオクターブ上がって終わりたいですね。
歌った後に秋と言えば?と質問してみましょう。
柿、十五夜、栗などおなじみの答えが返ってきますが、こんな気づきの人もいます。
「夕方日が落ちてから暗くなるまでが早いこと」(秋の日はつるべ落としなどと言いますね)
「朝窓を開けた時の空気の冷たさ」
「富士山がよく見えること」
楽器活動
ベルまたはトーンチャイムのオブリガート奏をしましょう。
楽器活動については会員登録の上「音楽療法のヒント!」をご覧ください。
最近のトレンドと言えば1月から始まったNHKの大河ドラマもそのひとつ。
私の1月後半のテーマは「平家と源氏」です。
調べてみると源平にちなんだ唱歌はけっこうあります。
これらの歌は知らない方も多く、思いだすまでに時間がかかるかもしれません。
うまく進めていくのには、参加者との関係ができていることと、会話がポイントです。
けっして一方的な授業のようにならないように、参加者の方々からたくさんの話を引き出し、その場にいる方々が共有できるようにしましょう!
チャレンジしてみてください!
平敦盛は若干16歳の美少年、源氏方の勇将熊谷直実はわが子と同じくらいの年頃の若者の首を断腸の想いではねました。敦盛の懐には一本の笛が入っていました。夜になると聞こえてきた美しい笛の音の持ち主は、この若者だったのです。
1番は平敦盛、2番は和歌の名手薩摩守忠度のことを書いています。
美しいメロディがこの逸話をさらに美しくします。
大正生まれの方々はこの歌のメロディを聞くと、「あぁ」と思いだし、子どもの頃の思い出とともに歌ってくださいます。
この逸話をお話しすることをお勧めします。
那須与一の逸話は有名なので名前を知っている方は多いです。
しかし、この歌を知っている人はあまりいません。
歌詞を読むだけでも楽しいです。
「ひよどりごえ」と聞いただけで「あぁ、知ってる」という人が何人もいます。
メロディを少し歌ってみると、一緒に歌いだす方がさらに何人も。
忘れていた歌を思い出すのは誰でも嬉しいことです。
義経の有名な勇ましい逸話ですね。
そのほかちなんだ歌では
平安時代は蹴鞠が楽しみの一つでした。
この歌はほとんどの方がご存知です。
平家と源氏の話題の後、この歌を歌うと、感想からは源頼朝の話題が出たり、大仏の話題が出たりと、会話がはずみます。
一寸法師の設定もこの時代に当てはまります